生涯で2000点以上の版画を制作
ピカソの版画を紹介する展覧会「パブロ・ピカソ―版画の線とフォルム―」が、東京都町田市立国際版画美術館で、6月15日(日)まで開催されている。
ピカソの作品は絵画や彫刻が有名であるが、陶器や舞台装置まで幅広く創作活動を行った。版画にも早くから取り組み、生涯で2000点を超える版画作品を生み出しており、ピカソの芸術における重要な分野となっている。
つねに新たな技法へ挑戦、数々の傑作を残す
今回の展覧会では、線やフォルムにスポットをあて、制作年代別に約200点の作品を展示する。版画の制作は、故郷スペインからパリに渡って間もなく開始し、この時代に代表作「貧しき食事」(1904年)をつくりあげた。
第二次大戦時にも、ピカソはパリを離れることなく創作を続け、スペイン内戦の犠牲者を悼む「ゲルニカ」を描いた。本展では、「ゲルニカ」と深いかかわりのある版画「フランコの夢と嘘」も紹介される。
戦後は刷り師であるフェルナン・ムルロと出会い、リトグラフに熱中。「鳩」(1949年)や「真夜中の馬たち」(1956年)、「闘牛技」(1957年)といった、数々の傑作が誕生した。
晩年は拠点を南フランスに移したが、そこでも旺盛な活動を続けた。リノリウムを彫刻刀で彫り進めるリノカットという技法を用い、多色刷りでの独自の手法作品「帽子をかぶる女の顔」(1962年)や「ランプの下の静物」(1962年)を発表した。
6月7日(土)には、版画の技法を体験できるワークショップが開催される。その他、ピカソ本人の協力を得て制作された映画「ミステリアス・ピカソ/天才の秘密」の上映や、学芸員によるトーク、コンサートなども予定されている。

パブロ・ピカソ―版画の線とフォルム―
http://hanga-museum.jp/exhibition/index/2014-233