消しカスアーティスト 入江早耶個展が開催中
東京画廊+BTAPで入江早耶個展「見出されたかたち」が9月28日まで開催されている。入江早耶の作品はなんとも不思議な作品だ。作品は、絵や掛け軸、紙幣などと、なにやら小さな人形・フィギュアが対になっている。
実はこの人形の原料は消しゴム、正確には「消しカス」だ。紙の中に描かれた対象を消しゴムで消し、その消しカスを集めて固めて作られている。よく見ると紙の中に描かれた人物などは白く薄くなり消されている。
本個展ではこれまでに発表された作品のほか、新作も発表される。新作では、歴史的な絵画の写真複製を用いて、それを消しカスで3次元表現することを試みている。
2次元から3次元へ消しカスを介して飛び出す作品たち
入江早耶は岡山県出身。現在は広島を拠点に活動中。2009年に岡本太郎現代芸術賞に入選、2012年には第6回shiseido egg賞を受賞している。彼女の作品の名前は共通して○○ダストと名付けられ、消された絵に描かれていたものの名前が用いられている。
例えば2010年に制作された「カンノンダスト」。これは掛け軸に描かれた観音様を消しゴムで消し、その消しカスで作られた観音像で構成されている作品だ。観音様の衣装のひだや色合いまで忠実に再現し、まるで絵の中から開放され、現実世界に鎮座しているような錯覚を覚える。
消しカスという通常無価値なものが緻密な芸術に再凝縮される作品。2次元から3次元への開放、価値のゆらぎをも感じさせる不思議な作品群だ。

入江早耶個展「見出されたかたち」
http://www.tokyo-gallery.com/exhibitions/intokyo/post-151.html