国芳ブレイクを巻き起こした「武者絵」
東京都渋谷区にある太田記念美術館では、『国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃』の展覧会を、2016年9月3日(土)から10月30日(日)まで、前期は9月3日(土)~9月27日(火)、後期は10月1日(土)~10月30日(日)の日程で展示替えをしつつ行う。
近年、幕末の浮世絵師である歌川国芳(1797-1861)を取り上げる展覧会が多くなってきているため、国芳は現代人にとって最も人気のある浮世絵師となっていると言っても過言ではない。
しかしその魅力は現代では「奇想」や「ユーモア」といった言葉で語られることが多いようだが、もともと国芳が江戸でブレイクしたきっかけは、「ワイルド」で「カッコイイ」武者絵なのである。
「通俗水滸伝」シリーズがその原点
その作品は『通俗水滸伝豪傑百八人之一個(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんのひとり)』(以下「通俗水滸伝」)というシリーズだった。
「中国四大奇書」のひとつである中国の小説「水滸伝」から題材を得たものだが、日本には1728(享保13)年に輸入され、19世紀には多数の翻訳や翻案が作られていたこともあり、「水滸伝」は当時の日本においてもかなりよく知られていた作品だった。
国芳は梁山泊の108人の無頼漢たちを力強くもエキゾチックな解釈で、躍動感あふれる姿で描き、評判を得た。そのため国芳は「武者絵の国芳」と呼ばれるほどの人気を博した。
くわえて「通俗水滸伝」の人気によって、江戸には武者絵の彫り物(刺青)ブームが巻き起こるほどだった。
この展覧会では国芳の出世作であると同時に武者絵の傑作である「通俗水滸伝」シリーズのほぼ全点を展示するとともに、国芳自身が手がけた、これもまた国芳らしい魅力にあふれる梁山泊の豪傑をパロディ化した作品などの、「水滸伝」に関する多彩なアレンジ作品も展示する予定だ。
休館日だが、9月5・12・20・26・28・29・30日/10月3・11・17・24日であり、開館時間は10:30から17:30(入館は17:00まで)となっている。

太田記念美術館 展覧会 『国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃』
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/