何の見返りも求めない世界へのあこがれ
東京都千代田区にある相田みつを美術館では、2015年6月7日まで第59回企画展の『花はただ咲く』を行っている。
この企画展のテーマは、相田みつをの書に繰り返し出てくると同時にその作品のテーマとして扱われている「人間のわたし」という言葉とはある意味対極の地点に存在する「ただ」という言葉である。
これは、何の見返りも求めず、何の駆け引きもなく、いのちいっぱい生きていくという純粋な世界への強烈なあこがれを示している。
このことが示すように、相田みつを作品は「ただ」と「人間のわたし」という両極で揺れ動きつつしたためられたものと言える。
相田みつをについて
相田みつをは1924年、栃木県足利市に生まれた。旧制栃木県立足利中学校在学中から書や短歌、絵に親しんでおり、卒業後は歌人山下陸奥に師事した。
1942年に歌会で生涯の師となる曹洞宗興福寺の武井哲応と出会い、在家しながら禅を学んだ。さらに1943年に書家を志して岩沢渓石に師事する。
相田みつをは長らく作品が評価されず不遇の時代が長かったが、1974年に教えを受けていた紀野一義のベストセラー『生きるのが下手な人へ』で紹介されたことをきっかけとし、1984年に出版された詩集『にんげんだもの』の出版が契機となり、広く知られるようになった。

相田みつを美術館
http://www.mitsuo.co.jp/museum/index.html