神秘的な東洋の美を体現するモデルとして
東京都江東区にある東京都現代美術館では2015年6月28日まで展覧会『山口小夜子 未来を着る人』を開催している。
山口小夜子は1970年代初頭より、アジア人初のトップ・モデルとして世界を舞台に活躍した人物である。国外への発信だけでなく、国内でも日本女性に新たな美を提示していた。
ふたつの要素にて山口小夜子の軌跡を表す
なお展示会はふたつの要素が入り組んでおり、ひとつはコラボレーションを通じて世代やジャンル、東洋と西洋、オーバー・グラウンドとアンダー・グラウンドといった異なるものを繋いでSAYAKOというひとつのジャンルを打ち立てた軌跡をアーカイヴとともに辿るとしている。
もうひとつは宇川直宏、山川冬樹、生西康典、掛川康典、エキソニモといった小夜子の身辺で活動したのち、現在のシーンにおいて大きな影響力を持つ先端的な表現者たちが小夜子にささげる新作インスタレーションを展示するほか、小夜子急逝の直前に新聞紙上で往復書簡を予定していた森村泰昌も小夜子へ捧げる新作を出品している。
さらに小夜子自らリメイクし愛着が伝わる旧蔵の服や「ウェアリスト(着る人)」と名乗った小夜子自身の美意識も紹介する。
70年代以降の日本文化の一断面が明らかに
山口小夜子はその晩年、若い世代の表現者たちとファッション、音楽、演劇、朗読、パフォーマンス、ダンスなどが混在する実験的な試みも行っていたのだが、それはこれまで十分には紹介されてこなかった。今回はその分野にもスポットライトをあてる。
このように展覧会は山口小夜子の生涯を振り返りつつ、常に時代の先端を走り続けたその遺伝子を未来へと渡すものとしている。
そのため今回の展覧会からは世界を視野に独自性を形成していった70年代以降の日本文化の重要な一断面が明らかになるとも考えらている。

東京都現代美術館 山口小夜子 未来を着る人
http://www.mot-art-museum.jp/