日本では7年ぶりの大規模な展示会
神奈川県横浜市にある横浜美術館では、2015年10月18日までのスケジュールで『蔡國強展:帰去来(ききょらい)』を行っている。
美術館の休館日は木曜日であり、開館時間は10時から18時まで(入館は17時30分まで)である。なお9月16日および9月18日は20時までの夜間開館を行っている(入館は19時30分まで)。
この展示会はニューヨークを拠点として、現代美術界でもっとも活躍しているアーティストのひとりである蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい こっきょう)の個展で、日本で行う大規模な展示は7年ぶりとなる。
中国文化・歴史・思想から着想を得て作品を制作している
蔡は、中国の文化・歴史・思想から着想を得つつ、火薬の絵画、独創的な花火、ランドアート、インスタレーションなど、さまざまな解釈を可能とするアートによって現代社会へ一石を投じつつ活動してきた。
それは戦争や武器に用いられる火薬の爆発をアートとして美術作品に仕上げることからもうかがえる。
ダイナミックな視覚的表現や柔軟なコミュニケーション力を持っているため、美術界にとどまらず幅広く多くの人々を魅了してきた。近年は子供や自然、エコロジーなどにも意識を高めている。
展示会のタイトルにある「帰去来」は中国の詩人である陶淵明(とうえんめい)の代表作である「帰去来辞(ききょらいのじ)」から引用している。
陶淵明はもともと官職に就いていたが、それを辞し、故郷の田園で生きる決意を表したという作品である。現実を見つめつつ、己の正しい道に戻り、自然に身をゆだねる自由な精神をうたっている作品である。
つまりこれは蔡がアーティストとして自由な創作を開始した地である日本という原点へ戻る、という意味が示されているとともに人間としての原点への問いも含まれている。
なおこの展示会では日本初公開となる近年の代表作「壁撞き(かべつき)」のほか、横浜に取材した大規模な火薬による平面作品に加え、テラコッタによるインスタレーションが新たに制作され展示されている。

横浜美術館 蔡國強展:帰去来
http://yokohama.art.museum/