絵本のキャラクターを導入にし、物を収集するときの気持ちを伝える
東京都台東区にある東京都美術館では、2015年10月4日までのスケジュールで『キュッパの美術館ーみつめて、あつめて、しらべて、ならべて』が開催されている。
休室日は月曜日および、7月21日(7月20日と9月21日は開室)で開室時間は9:30から17:30(入室は閉室30分前まで)である。なお金曜日は9月11日と21日を除いて21:00まで開室。
この展覧会のテーマは「物を見つめ、集め、並べてみることから始まる、私たちの住む世界とのコミュニケーション」となっている。
そもそも今回の展覧会の出発点は、ノルウェーの新進作家オーシル・カンスタ・ヨンセンが描く絵本の、『キュッパのはくぶつかん』に出てくるもの集めが大好きな丸太の男の子である。
ものを集め並べるという行為は、だれしもが大抵子供の頃に「宝箱」といったようなものを作った記憶があるように、人間の根本的な喜びに通じていると考えられる。
そのためキュッパのはくぶつかん、の話を導入にしつつ、物を収集する過程のワクワクした気持ちが伝わってくるようなコレクションや、何かを観察し、収集し、並べることを含むアーティストの作品を紹介する。
展覧会構成
展覧会の構成は次のようになっている
1)『キュッパのはくぶつかん』の物語を映像で紹介する。
2)参加型の展示スペースがあり、床に1000種類以上の物が分類されないまま置かれているが、ここではキュッパのように散歩に出かけ、物を集め、見つめ、並べることが可能な「物を通して対話する」空間がある。
3)ギャラリーCの展示室には作家アラン・ケインが選んだイギリスの、ろくろで作った陶磁器が300近く展示される。これへ観客が身近な場所から探して持ち寄る不要となった皿や陶器を足していくことで、観客参加型インスタレーション作品として成り立っていく。
このように、今回の展示の特徴は、自然科学系、歴史系、美術系といったカテゴリーを超えて展示物が選択されていることと、参加と体験を伴う作品が多いことである。
そのため展示室ではキュッパのように自分の周りに広がる世界をクリエイティブに観察しつつ、誰かとまなざしを共有する楽しさを体験することができる。

東京都美術館 キュッパのびじゅつかん
http://kubbe.tobikan.jp/index.html