日本初の体系的な回顧展でもある企画展
東京都世田谷区にある、世田谷美術館では2015年11月28日から2016年1月31日までの期間、企画展として『スペインの彫刻家 フリオ・ゴンザレス -ピカソに鉄彫刻を教えた男』を行っている。
休館日は毎週月曜日(なお1月11日祝日のため開館し、翌12日を休館日とする)年末年始の12月28日~1月4日である。開館時間は10:00~18:00(入館時間は閉館の30分前まで)。
この展示会はフリオ・ゴンザレスの仕事の全体像をとらえる、日本初の体系的な回顧展となっている。バレンシア現代美術館の所蔵品を中心に、金工作品を10点、彫刻55点、素描29点といった計94点を展示し、知られざる巨匠の魅力を伝えるものとなっている。
ゴンザレスは彫刻家としてはわずか10年の期間ほどしか活動していない。しかし鉄などの金属素材を知り尽くした手および、同時代の芸術動向を慎重に咀嚼するような粘り強い精神を持っていたゆえに、その生み出す作品からはデイヴィッド・スミス、アンソニー・カロといった戦後の現代彫刻家たちが進むべき道を指し示すものとなったのである。
ゴンザレスの経歴
ゴンザレスは20世紀の鉄彫刻の父とされている。もともとはバルセロナで働く金工職人だったが、19世紀末には「モデルニスモ」という前衛芸術運動がそこで花開いていたこともあり、1900年からパリを生活の拠点として金工で暮らしを立てつつ、画家として活動を行っていた。
だが1920年代半ばにはブランクーシ(ルーマニアの20世紀を代表する彫刻家)の技術助手を務めるようになり、1928年から数年間は、同郷のピカソに鉄の溶接技術を教えたことをきっかけとして、50歳を過ぎてから彫刻家としての自分を発見するに至った。
そして「空間の中のドローイング」とも呼ばれる抽象的かつ有機的なのびやかさを持つ彫刻を生みし注目されたものの、スペインの内戦および第二次世界大戦の勃発といったものに翻弄され、志半ばで世を去った人物である。

スペインの彫刻家 フリオ・ゴンザレス -ピカソに鉄彫刻を教えた男
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/