子供の動きを表現していった画家
東京都練馬区にあるちひろ美術館・東京では2016年5月22日(日)までの予定で、展覧会「ちひろのムーブマン」を行っている。
なお”ムーブマン”とはフランス語で『動勢』を表す言葉であり、美術用語としては絵画などに表示される躍動感を示している。
駆けたり、跳ねたり、転がったりと、ちひろはじっとしていない子供達の姿を自然に描きだした画家である。
母親であったちひろの側には、いつも”ムーブマン”そのものの子供達がいたのである。
ちひろは1940年代後半から画家として活躍をはじめていたが、膨大な子供の姿を鉛筆やペンなどによる線で表現してきたのである。その後ちひろは、パステルを線描に用いるという新たな試みを1970年から挑戦していった。
パステルは細い線を引くには向いていないものの、ちひろはパステルの使用によりより伸びやかなスピード感のある線をつかむことになったのである。
息子の成長とともに変化する作品
ちひろは1951年、31歳で母親となった。息子があかちゃんのころのスケッチは、線で描かず、水彩のにじみや濃淡を駆使して表現していた。「私は触って育てた」という子育ての実感も絵からリアリティがあふれるものにしている。
やがて息子の成長を日々見つめながら、スケッチを繰り返すなかでちひろはどんな格好をした子供も描きだすことのできるデッサン力にくわえ、同時に動きをとらえる”線”も身につけていったのである。
そのため動き回る息子を描いたスケッチは、次第に速く、力強くなっていく子供の動きにあわせ、その一瞬をとらえる線が力強く変化していった。
美術館の休館日は毎週月曜日で、開館時間は10:00から17:00(入館は閉館30分前まで)となっている。
(画像はホームページによる)

ちひろ美術館 公式ページ
http://www.chihiro.jp/