儒学思想の世界観を表す“素人による”文人画
近代文人画の巨匠・富岡鉄斎の作品を紹介する展覧会「鉄斎 TESSAI」展が、東京・丸の内の出光美術館で、8月3日まで開催されている。
文人画とは、中国の「文人」、つまり官僚や知識人など儒教を中心とした高い教養をもつ人による絵を指し、職業画家による作品とは区別される。
鉄斎は幕末、明治、大正と激動の時代を生き抜いた儒学者で、学問のかたわら多くの書画を制作した。当時は“文明開化”とともに絵画も西欧化が進みつつあったが、鉄斎は書画をとおして身に付けた先達文人の世界観を自らの手で描き出し、独自の画業をつくりあげた。
鉄斎の“人なつっこさ”がしのばれる扇面
本展は鉄斎の没後90周年を記念し、同館に所蔵されている鉄斎の作品70点を展示。青年時代から晩年までを5つのセクションに分け、その生涯とともに各時期の書画を紹介する。
鉄斎には“人なつっこい”面があり、お祝い事や時節の交流などで、扇子に絵を描いて人にあげていた。まるで絵手紙のような鉄斎の扇子も、特集コーナーを設けて並べている。

没後90年 鉄斎 TESSAI
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/