多岐にわたった研究対象
東京都台東区上野公園内にある国立科学博物館では2016年12月4日までの日程で「日本の自然を世界に開いたシーボルト」を行っている。なお2016年はシーボルト(1796ー1866)の没後150年にあたる。
シーボルトはドイツ人であり、当初は1823年にオランダ商館の医師として来日した。もともと植物への関心が強かったため、その際に1万点以上のおし葉標本を収集したほか、川原慶賀による植物画などを集めた。
これらシーボルト標本はコレクターの収集といったものに終わらず、研究者として日本植物の分類にも貢献しており、シラネアオイやキブシといった日本の固有種の存在も明らかになった例もある。
なお標本だけではなく、ドイツの植物学者であるツッカリーニと共同で研究し表した大著フロラ・ヤポニカもある。
くわえて海藻標本も作製しており、それはライデンの王立植物標本館に保管された。保管から40年後、オランダの植物学者スリンハーがそれらを研究し、ワカメ属が新設されるなどして日本の海藻の解明がすすめられた。
動物学者としての一面も
これらの活動により、植物学者として知られているシーボルトだが、来日早々動物学に関する論文を執筆しており、その後も網羅的な動物標本収集を行っている。
同じ種でもたくさんの標本を収集し、また生きた動物も観察していたスタイルには、動物学者としての素養を見ることができる。
なおこれらシーボルトの動物コレクションだが、主にライデン自然史博物館の研究者によって調査され、ファウナ・ヤポニカ全5編としてまとめられた。
これは種や亜種の命名に使用された「タイプ標本」となり、現在も研究に利用されている。
休館日は毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日が休館日)である。開館時間は9:00から17:00、金・土曜日は9:00から20:00である(入館時間はいずれも入館30分前まで)。

国立科学博物館 企画展 日本の自然を世界に開いたシーボルト
http://www.kahaku.go.jp/event/2016/09Siebold/