川端康成の美術品コレクションを展示
東京都千代田区にある東京ステーションギャラリーでは、現在『川端康成コレクション 伝統とモダニズム』を2016年6月19日(日)までの期間で行っている。
川端康成といえば『伊豆の踊子』や『雪国』といった名作で知られる日本を代表する小説家だが、美術品のコレクターとしての面も持っていた。そしてそのコレクションの内容は、伝統的な美に対する審美眼の確かさとともに美術の世界に対する深い理解を物語っている。
くわえてこの展覧会は、伝統とモダニズムの双方にまたがる川端の収集品を軸にしつつ、文学作品の展開や文学者たちとの交流も視野に入れて、その深い美意識に分け入ろうとするものとなっている。
コレクションの内容と作品の関係
古くは縄文時代の土偶や、古墳時代の埴輪にはじまり、ほかにも浦上玉堂の『凍雲篩雪図』や、池大雅と与謝蕪村が競作した『十便十宜図』といった国宝に指定されている近世絵画、そして黒田辰秋や加藤唐九郎の工芸品といったものまでにもコレクションが広がっていた。
それらは川端の文学作品にも反映されており、『千羽鶴』には志野の水指や楽茶碗、『舞姫』における仏教美術といったように伝統的な日本美術作品の登場する作品は多数ある。
反面、モダニズムやアヴァン・ギャルドといった芸術にも深い理解を示しており、ロダンの彫刻やピカソのデッサンはもとより、古賀春江、草間彌生、村上肥出夫らの作品にも若いころから関心を持ち、収集の対象としていた。
たとえば『古都』にクレーやマティス、シャガールから抽象絵画にまで筆が及んでいるだけでなく、美術品が小説の本質的な部分に関わるようなモチーフとして扱われている点にも注目される。
休館日は毎週月曜日(5/2は開館)で、開館時間は10:00から18:00で、金曜日は20:00まで、それぞれ入館は閉館の30分前までとなっている。
なお国宝は会期中に展示替えで閲覧を行っているため、作品の展示日程をあらかじめチェックしてから足を運ぶようにしたい。
(画像はホームページより)
東京ステーションギャラリー 川端康成コレクション 伝統とモダニズム
http://www.ejrcf.or.jp/