写真を中心としたトゥオンブリーの展覧会
千葉県佐倉市にある、DIC川村記念美術館では2016年8月28日(日)までの期間、『サイ・トゥオンブリー -変奏のリリシズム-』を行っている。
この展覧会では写真を中心として展示しているが、絵画・彫刻・ドローイングも展示している。トゥオンブリー芸術の全体を見通せる国内初の展覧会である。なお彫刻作品の日本公開は25年ぶりとなる貴重な機会ともなっている。
そもそもトゥオンブリーの写真が初めて発表されたのは1993年とかなり遅い。1960年代以降はニューヨークの主要画廊や、ヨーロッパの美術館で個展や大回顧展が催されているものの、それには写真作品の展示はなかった。
日本で作品が紹介されたのは、過去にグループ展などで部分的に紹介されたきりである。そのためこの展覧会が日本国内では初の本格的なトゥオンブリーの写真が発表されたものとなる。
なおトゥオンブリーの写真作品に見られる、薄いヴェールをかけたような独特の感触は、焦点があいにくいポラロイドカメラの特性と、撮った写真をざらついた紙に複写するプロセスによって生み出されたものだ。
全体像を客観的に記録することより、対象にふれ、その質感をいとおしむように、造形的な関心を抱いた部分をクローズアップするように写真作品を作り上げたのだ。そのため、トゥオンブリーは自らを『ロマンティックな象徴主義者』と称している。
サイ・トゥオンブリーとは
サイ・トゥオンブリーは米国ヴァージニア州に生まれた画家であり、抽象表現主義と呼ばれた画家たちの次世代の作家として作品をのこした。
ボストン美術学院、ニューヨークのアート・ステューデンツ・リーグで絵を学び、学生時代からロバート・マザウェルといった画家らに画才を認められていた。
なお、トゥオンブリーはアメリカ現代美術を代表する存在だが、作品の多くはイタリアで制作されている。これはトゥオンブリーが幼少期から抱いていたローマへの強い憧れのためである。
同時に神話や歴史に関心を寄せており、ローマ皇帝の逸話を真実と信じていたりなど、つねに古い時代に思いを馳せていたようだ。
休館日は月曜日(7/18は開館)および7/19で、開館時間を9:30から17:00(入館は16:30まで)となっている。
DIC川村記念美術館 開催中の展覧会
http://kawamura-museum.dic.co.jp/