『日本』のタイムカプセル
千葉県佐倉市にある、国立歴史民俗博物館では2016年7月12日(火)から9月4日(日)までの期間、『よみがえれ! シーボルトの日本博物館』をシーボルト没後150年の記念事業として行う。
シーボルトは江戸後期の日本に2回(1823-1828および1859-1862)訪れ、日本に西洋医学を伝えたドイツ人の医師だ。
医者という顔の他に、博物学者という顔も持っていたことで知られる人物であり、日本で入手したさまざまな地図や絵画、器などを元にコレクションを形成していた。
そしてこの展覧会のコンセプトは、シーボルトが亡くなる直前にミュンヘンで開いた「日本博物館」の再現を行うというものになっており、シーボルトのコレクションを再構成した約300件の作品より、日本の懐かしい姿がよみがえる。
ヨーロッパでの活動
ドイツに帰国後は、ライデン・アムステルダム・ヴュルツブルク・ミュンヘンの各都市で自らのコレクションによる日本展示を実現させた。それは万国博覧会の日本紹介やジャポニズムによる日本趣味に先駆けて試みられた。
そもそも当時のヨーロッパは、ヨーロッパ以外の地域の民俗およびその文化への関心が王侯貴族だけでなく、庶民にまで高まっていた時期であり、近代的な博物館展示や学問としての「民俗学」が生まれつつあった時期でもあった。
他にもシーボルトは『日本 Nippon』や、『日本植物誌 Flora Japonica』といったものを出版し、後世の日本学や植物学に大きく貢献している。
明治以前の日本は、日本人の心のよりどころとされつつも、現代においてはかなりのものが失われてしまっている。今一度その価値観や文化の原点を確認するために訪れるのもいいのではないだろうか。
よみがえれ! シーボルトの日本博物館 特設サイト
http://siebold-150.jp/国立歴史民俗博物館 開催予定の企画展示
http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/index.html