ゲリラ豪雨の洪水から守ってくれる施設が地下にあった
近年、異常気象からかゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な大雨が増加している。ゲリラ豪雨や台風の際は、短時間に大量の水が河川に流れ込む。中川・綾瀬川流域の埼玉県春日部市付近は、河川の勾配が緩やかなことから、大雨が降ると急激に水位が上昇し、しばしば浸水被害を受けていた。
そこで建設されたのが、中小河川の洪水を地下に取り込み、地下50m、総延長6.3kmのトンネルを通して江戸川に排水する世界最大級の地下放水路、「首都圏外郭放水路」だ。施設は、各河川から洪水を取り入れる流入施設、地下で貯水、流下する地下水路、地下水路から水を排出する排水機場などで構成されている。
荘厳! 巨大地下空間を見学しよう
この施設の見学会が今、大人気だ。見どころは「地下神殿」とも呼ばれる地下の調圧水槽。地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、スムーズに流すための巨大なプールだ。幅78m、長さ177m、高さ18mの空間には巨大な柱が整然と立ち並び、荘厳なパルテノン神殿のような風景だ。地下空間のあまりのスケールの大きさに誰もが息をのむ。
見学会は毎週火曜日から金曜日、1日3回実施されている。受付は予約制で事前にインターネットか電話での申し込みが必要だ。定員は25名で、満員になることも多いので早めの予約がオススメだ。
ちなみに大雨が降って設備が稼働すると、調圧水槽の見学はできない。そのかわり、操作室でのリアルタイムモニターなど、施設稼働中ならではの見どころがあるので、そちらも楽しみだ。我々の生活空間の地下で人知れず働いている設備や人々に敬意を表して見学したい。

首都圏外郭放水路 国土交通省江戸川河川事務所
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/index.html