貴重な浮世絵コレクション
東京都港区にあるサントリー美術館では、2016年4月29日(金・祝)から6月12日(日)までの期間、『原安三郎コレクション 広重ビビッド』の展覧会を行っている。
今回のコレクションは歌川広重の最晩年の代表作、『名所江戸百景』および『六十予州名所図会』が中心である。
展覧会ではあわせて葛飾北斎や、歌川国芳が描いた名所絵も展示している。現存数の少ない北斎の『千恵の海』も10図全て揃っているという点もこの展覧会の見どころだ。
原安三郎が蒐集した品々
このコレクションを集めていた原安三郎は、日本財界の重鎮として活躍した日本化薬株式会社の元社長である。なおこのコレクションはごく近年に発見されたもので、内容は状態のいい風景画だけでなく、肉筆画も発見されたため、話題となった。
そもそも歌川広重の『名所江戸百景』だが、「初摺(しょずり)」の行程では広重の意志が摺師(すりし)に細かく線や色へ反映されつつ丁寧に摺られているのだが、その後需要が増加したこのシリーズは「摺り(すり)」が簡略化され、クオリティの低い「後摺(あとずり)」が複数制作されていた。
このコレクションでは貴重な「初摺」でとくに早い時期のものがあるため、作品の線が摩耗していないだけでなく、広重ブルーと言われた広重作品の特徴である青色や藍色が見事な発色を見せている。
状態のいい広重ブルーはなかなか見られないため、ぜひ足を運んでおきたい展覧会である。
休館日は毎週火曜日(5月3日および6月7日は開館)で、開館時間は10:00から18:00までとなっている。
(画像はホームページより)

サントリー美術館 展覧会 原安三郎コレクション 広重ビビッド
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_2/