社会活動家であると同時に多くの美術学生を育てた
神奈川県横浜市にあるそごう美術館では、2016年7月10日まで国吉康雄展を行っている。国吉康雄とは、現在の岡山市北区出石町出身の画家で、16歳のとき単身アメリカに渡り、その後絵を学んで画家となった人物である。
國吉はアメリカの自由な民主主義を信じ、日本の軍国主義を批判した人物として様々な社会的な運動に携わったという人物であるほか、教育者として多くの美術学生を教え、1953(昭和28)年にアメリカで亡くなった。
国吉康雄とは
国吉はアメリカを代表する画家として、ヴェネチア・ビエンナーレの会場に作品を飾るほどになった人物であり、20世紀前半の二つの世界大戦があった激動の時代、独特な色彩センスの絵画技法にて絵を描いていた人物である。
しかし国吉は、冷戦期の社会情勢の変化および、美術シーンが抽象画が絵画表現の中心となっていったため、やがて忘れられていった。
その後、国吉の回顧展がワシントンで開催され、ワシントンポストとニューヨークタイムスが絶賛したことをきっかけとし、再評価された。
そしてアメリカは国吉を画家としてだけではなく、自由と権利のために戦った社会活動家として、また多くの芸術家を育てた教育者として評価しなおした。
展覧会の内容
今回の展覧会では、日本初公開の大作「クラウン」や、国吉研究の視点を変えたという「ウィリアム・グロッパーの肖像」を、国吉の故郷岡山以外では初めて展示している。
展覧会は約50点の油彩・ガゼイン・水彩・墨絵を展示するほか、研究者や国吉の教えをうけたアーティストのインタビュー映像も交え、国吉康雄と現代を繋げる様々なアートプロジェクトや教育活用の現場の様子などと合わせて紹介する。

そごう美術館 国吉康雄展
https://www.sogo-seibu.jp/