時代背景および精神性にまで迫る展覧会
神奈川県足柄下郡にある箱根ラリック美術館では、開館10周年記念として2015年12月13日までの日程で、企画展の「ミュシャとラリック」を行っている。会期中は無休であり、開館時間は9:00〜17:30(入館は16:00まで)である。
今回の展覧会では、サラ・ベルナールが舞台「遠国の姫君」で使用した、日本初公開となる作品や、舞台用冠「ユリ」をはじめとしてこれまでミュシャの展覧会で紹介されることがなかった貴重な作品も展示する。
時代背景も含めた視点にくわえ、作家の精神性までに深く迫る展覧会となっている。
パリ万博にて花開いた2人
1860年、同じ年に生まれたポスターのアルフォンス・ミュシャとジュエリーのルネ・ラリックは、2人とも長い下積み生活を経たのち、アール・ヌーヴォーの寵児として並び称された。
やがてフランスが誇る女優のサラ・ベルナールに才能を見いだされ、一躍表舞台に躍り出たという経歴を持っている。
1900年のパリ万博では、ともに才能を発揮し、花開いた2人は、その後同時に人生の転機を迎えている。
その後の2人の作品制作
まずラリックだが、一点もののジュエリー制作から、大量生産のガラス工芸家へと転身し、一方のミュシャは無数に刷られるポスターのデザインから、祖国のための絵画制作へと向かった。
2人は成功の後に自分を見つめ直すことによって、アートへの取り組み方が正反対となったのである。
その後、激動の20世紀に入るものの、両者はこれを乗り越えて制作活動を続けている。その中には「芸術で人々の心や制作を豊かにしたい」という強い思いがあったためだ。
展覧会はそのような時代の変化と不動の信念を直接感じ取れるものとなっている。
(画像はホームページより)

箱根ラリック美術館 企画展概要
http://www.lalique-museum.com/