ホックニーを語る上で重要な要素である版画の展覧会
東京都町田市にある、町田市立国際版画美術館では2016年10月1日(土)から11月23日(水)までの日程でデイヴィッド・ホックニー版画展が行われる。今回はホックニーの版画作品役150点を展示し、その魅力と表現の秘密に迫る。
デイヴィッド・ホックニー(1937年〜)は現代美術を代表するイギリスの美術家である。その創造領域は絵画のみならず版画、写真、舞台美術と幅広い。
とりわけ今回の題材となっている版画は10代のころから継続的に制作を行っていた重要なジャンルとなっている。何気ない部屋の中の様子や、家族や友人たちの肖像、旅先の風景といった人生における一コマ一コマを巧みに表現している。
くわえて自伝的要素をこめた物語や、ピカソへのオマージュといった内省的かつウィットに富んだシリーズも制作されているところがその才能の豊かさを感じさせる。
美術に対する飽くなき探究心
ホックニーはイングランド北部ヨークシャーのブラッドフォードで生まれ、1962年にロンドンの王立美術学校を首席で卒業したあと、「ポップ・アートの旗手」として美術界へ華々しいデビューを飾る。
やがてロサンゼルスに活動拠点を移すが、そのときに作風が大きく変化し、明るい光と豊かな色彩があふれる優れた作品を次々と制作していった。
それは版画工房との多彩なコラボレーションや、伝統邸版画技法を逸脱し行ったファクシミリやカラーコピー、そしてコンピューターまで用いた手法がよく表しているところだ。
ホックニーの制作の根底にはつねに「描くこと」という心情の源流をたどる問いかけがあったことが表すように、美術そのものに対し強い探究心が存在している。
町田市立国際版画美術館 デイヴィッド・ホックニー版画展
http://hanga-museum.jp/exhibition/schedule