国宝および重要文化財も見られる
東京都台東区上野公園内にある東京国立博物館では、2016年10月2日(日)まで『藤原行成の書 その流行と伝承』の展覧会を本館の特別1室にて行っている。
今回の特集では、藤原行成(ふじわらのこうぜい/972-1027)の真跡(本人が書いた書と認められる筆後)および、直筆が堪能できる。
それだけでなく国宝である「白氏詩巻(はくししかん)」も見ることができ、この書は、行成の子孫である藤原定家(1088-1154?)が行成の書と鑑定しているため、確実に行成の書と言えると同時に、行成の代表作でもある。
さらに重要文化財の「書状」には、尊円親王(そんえんしんのう)が行成の書を褒め称える書がそえられていることから、行成の書が愛好されてきた歴史がうかがえる。
藤原行成について
藤原行成は、平安時代中期の貴族で、書において高度な技術を持った専門家である書家であっただけでなく、能書(歴史上の書人で、今も評価の高い人物)のうちから小野道風、藤原佐理とともに「三跡」と称されたほどの人物である。
もともと中国から伝わった書をもとに日本風の書として発展していった和様(わよう)の書は行成が書家として活躍した時期に完成している。そのため鳥羽天皇(1103-56)の時代まで、書はみな行成にならって書いていたと言われるほど、行成の書は流行した。
さらに行成の子孫は代々宮廷の書役として活躍し、平安時代から鎌倉時代にかけ、和様の書の中心的役割をになっていた。なお後に世尊寺(せそんじ)流と呼ばれる系統が誕生したのだが、その系統の祖としても行成は尊重されたのである。
休館日は毎週月曜日(祝日になっている場合は開館し、翌日閉館する)であり、 開館時間は9:30から17:00だが、9月中は日・祝・休日および10月2日は18:00まで開館する。(ただし入館は閉館の30分前まで)
東京国立博物館 藤原行成の書 その流行と伝称
http://www.tnm.jp/