現代アーティストの行う個人的なイメージの翻訳作業
東京都文京区にある「SCAI THE BATHHOUSE」では2016年10月28日(金)から12月3日(土)までの期間、何翔宇(ヘ・シャンユ)の展覧会「Save the Date」を行う。何翔宇は2014年の上海ビエンナーレや、2015年のリヨン・ビエンナーレの参加といったことが表すように、国際的な活躍を続けきている。
何翔宇は身体的感覚に着眼して作品を制作している現代アーティストである。これは長期間外国語の環境に置かれたアメリカに一時移住したことによると何翔宇は語っている。
感情や感覚といったものを言語で記述することに難しさやもどかしさを感じたことが、個人的な領域に閉じ込められた感情や感覚をイメージの世界に置き換えて「翻訳」する試みのスタートになったという。
多文化社会の現代ゆえに生じる交流の困難さおよび手がかりも表現
多文化社会のなかでの人々の交流の困難さと、その手がかりを求めるということをテーマにしたこの展覧会では、作者は感覚の探求をしつつ辛辣なユーモアを交えて多様な表現を展開している。
今回の展示でも感覚の伝達に焦点をあてた近作・新作を発表している。中心となる作品は足の裏にインクをぬり、一つの領域からまた次の領域へと飛び跳ねる動きの軌跡をとどめた『My Feet』(2016年)だ。
この作品には不安、畏れ、緊張や焦りなどの日々異なる感情の起伏がつま先までに伝達して、作者の心理状態をあらわす素描となっている。
そして立体作品の『Untitled(read)』では鉄や銀よりも比重が大きい鉛のキャスティングを用いることにより、鑑賞者の視覚をあざむく重量感を表している。
ほかにもオリーブオイルによって作られる作品や、油性マーカーによる作品といったものもあり、視覚・嗅覚へまで考察が広げられている。
日・月・祝日が休廊日であり、開廊時間は12:00から18:00まで。なおこの展覧会だが、東京都港区のカイカイキキギャラリーにて同時開催される何翔宇の個展「save the date」と同時開催で行われる。
SCAI THE BATHHOUSE 次回の展覧会
http://www.scaithebathhouse.com/