シリーズ6回目となる展覧会
東京都目黒区にある目黒区美術館では2016年12月18日(日)までの期間、『色の博物誌 ー江戸の色材を視る・読む』を行っている。
目黒美術館は、1992年から2004年にかけて「青」「赤」「白と黒」「緑」「黄色」をテーマにした「色の博物誌」シリーズを開催してきた。今回の展覧会はこのシリーズの6回目にあたる。
テーマは「江戸時代の豊饒な色材」である。日本には鉱物系の色材、昆虫系の色材、植物染料系の色材にくわえ、渡来系の色材も存在し、実に豊富な原料があった。
それら知恵と工夫によって作られてきた色料や絵の具により制作された絵図と版画という、2つのトピックにて取り上げる。
「公」と「民」の代表的絵画
江戸時代を代表する絵画には、『国絵図』と『浮世絵』というジャンルがある。
『国絵図』は「公」の絵画として幕府が各藩に献上物として描かせた豪華絢爛で非日常的な絵地図をさす。公的なものであるからこそ、各藩は精力をあげて制作し、結果その巨大さ、豊富な色彩、描画の技術などからみても世界的にも特筆されるものとなった。
もうひとつの『浮世絵』は「民」の絵画で、大衆文化を象徴するものである。庶民が「私的」に愛玩していたからこそ、その技術および色彩は極められ、非常に可憐で華やかなものとなっていた。
両極にあるこれら2つを見つめることにより、江戸時代の絵画の色の質と表情も浮かび上がってくる。
色材から各ジャンルの文化史にむすびつけ文化史をひもとく
「色の博物誌」シリーズでは考古・民俗・歴史・美術を横断してそれぞれの色材文化史を紡いできた。
色材そのものをフォーカスし、展示するという企画はあまり美術館ではみられないテーマではあるが、絵を描くのに欠かせないもものであるため、その原材料および特質を知ることにより、作品をまた違う方向から楽しむことができる。
なお国絵図4点および復元作品1点の展示にくわえ、浮世絵も約30点展示するほか、木版画家立原位貫氏(1951-2015)の復刻・復元作品40点の展示がある(展示替えあり)。
目黒区美術館 展覧会 色の博物誌ー江戸の色材を視る・読む
http://mmat.jp/exhibition/archives/ex161022