奥村土牛の展覧会
東京都渋谷区にある山種美術館は、2016年に開館50周年を迎える。その記念展覧会の第1弾、『奧村土牛 -画業ひとすじ100年のあゆみ-』が2016年5月22日まで行われている。
この美術館は山種証券(現・SMBCフレンド証券)の創始者、山﨑種二(1893-1983)のコレクションを基盤として、1966年に日本初の日本画専門美術館として開館したものである。現在の所蔵品は約1800点にもおよぶ。
なおこのコレクションの中核をなしている近代・現代日本画のコレクションは種二と画家たちとの親しい交遊を通して収蔵されたという特徴がある。
今回展示している奥村土牛の作品は、国内屈指の数(135点)を有している。これは無名の研鑽時代から50年以上にわたってこの美術館の歴代館長と親しく交流していたという背景もある。
なお奥村土牛の「土牛」という雅号は「土牛石田を耕す」の中国・唐の詩から父親が名付けたものだ。
初心を貫き通した101歳の生涯
土牛は画家志望であった父親のもと、10代から絵画に親しみ、梶田半古の画塾にて生涯の師と仰ぐ小林古径に出会う。
半古や古径から学んだ「写生」や「画品」を重視する姿勢をつらぬき、清らかで温かみのあふれる作品を数多く生み出していた。
画壇には38歳で院展初入選と遅咲きではあったが、40代半ばから名声を高め、80歳にて「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と語り、100歳を超えても制作に取り組むという姿勢を見せていた。
そのひたむきさや温かさをうけて、心を休めることができるだろう。訪れてみたい展覧会である。
なお休館日は毎週月曜日(5/2は開館)で、開館時間は10:00から17:00までである。
(画像はホームページより)
山種美術館 開催中の展覧会
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html