第72回展覧会「古典再生 -作家たちの挑戦」
東京都千代田区の皇居内にある、三の丸尚蔵館では現在「古典再生 -作家たちの挑戦」として、第72回展覧会が2016年6月19日(日)まで行われている。
この展覧会では古典を模範としながら、明らかな近代的感覚を抱かせる不思議な魅力をもった近代美術の作品を紹介している。
その美術品を通して、明治・大正・昭和それぞれの時代の作家にとって、常に創作の源泉となり得た『日本美術』というものの土壌の豊かさの再認識する機会としている。
廃物希釈や古器旧物の破壊から伝統を保護していく運動が起こる
明治維新後、政府は近代国家として西洋列強の国家に追い付くため、その姿を急速に西洋化することで自立を推し進めた。
その影響化で廃仏毀釈による古器旧物の破壊や、美術工芸品の国外流出が相次いだ。そのため明治10年代半ばより、日本古来の伝統を保護しようとする機運が高まりをみせていった。なおこの機運は江戸時代後期に興った復古思想とも重なりをみせた。
近代的な感覚と古典の融合
基本的にはモチーフや形状、表現技法などの面で近世以前の古美術を『古典』として意識した作品が数多く作られたものの、単なる焼き直しに終わる作品も少なくなかった。
しかし徐々に古典の表現的な模倣から本質をとらえた上で、作家の個性や近代的な精神を融合させたすばらしい作品が登場してきた。
やがて大正時代には、作家たちは真摯に古典と向き合うことにより、新味あふれると同時に自分なりの美を発見していった作品が登場した。そしてそれらは美術界での新機軸となっていったのである。
このように古典を昇華させて生み出した作品は、伝統保護の重要性を認識していた硬質や宮内庁からも高く評価され、展覧会で買いあげられていき、さらに皇室への献上を目的に制作された作品も生まれてきた点などには注目すべきものがある。
開催中の休館日は6月3,6,10,13,17日となっている。開館時間は9:00から16:45(入館は16:30)までとなっている。なお行事などの関係で臨時休館になることもあるため、その点を注意してほしいとのことだ。

宮内庁HP 三の丸尚蔵館 第72回展覧会について
http://www.kunaicho.go.jp/