「落合佐平次道次背旗」が公開される
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館では2016年9月19日(月・祝)まで「『もの』からみる近世『戦国の兜と旗』」を行っている。
今回戦国時代の旗指物として有名な「落合佐平次道次背旗(おちあいさへいじみちつぐせばた)」が修理を終えたことを機会とし、この旗指物および国立民俗博物館が所蔵している変わり兜を合わせて展示する。
この旗指物は東京大学史料編纂所がもともと掛け軸の形で所蔵していたが、通常の旗指物として修復するとともに科学的見地から調査するプロジェクトが進められており、今回無事旗指物の姿に復元された。
「落合佐平治通次背旗」は、武田勝頼の軍と織田・徳川連合軍が戦った「長篠の戦い」にまつわるものである。武田軍に包囲された徳川方の奥平氏が守る長篠城から脱出し、援軍が来ることを確認した鳥居強右衛門(とりいすねえもん)という武士を描いたとされる。
強右衛門はその帰路に、味方に援軍が来ることを伝えたため武田軍に磔にされた。その姿を見て感動した武田軍の落合佐平次道次という武士がこの様子を描かせて、自分の旗指物とした。
旗の実物を展示するのは8月21日(日)までで、その後は複製品の展示となる。
「変わり兜」の流行
戦国時代末期より、戦いが大規模になるにつれその具足は変化していき、兜は奇抜な形に仕上げ、個性的な飾りを付けた「変わり兜」が発達した。
加えて鎧の背中には、「指物」といわれる旗や飾りを付けて戦をするようになった。これは大規模な集団戦が行われるようになったため、個人の活躍が認められるためには、その存在を際立たせることが必要となったためである。
今回は兎の耳、ムカデ、蝶々といったひたすら目立つことを追究した兜を10点ほど展示する。
兎は現代からしてみれば可愛いもの、という連想がなされるが、戦国時代のころは月の信仰と結びついていたと同時に俊敏さを現していた。さらにムカデは、後ろに歩かないため退却をしないという意味がこめられ、武士には縁起のいいものだった。
休館日は毎週月曜日(祝日の場合は開館し翌日に休館)であり、開館時間は9:30から17:00(入館は16:30)までである。
国立歴史民俗博物館 特集展示 『もの』からみる近世「戦国の兜と旗」
https://www.rekihaku.ac.jp/