ちひろの読んでいた本と作品を結びつける企画
東京都練馬区にある、ちひろ美術館・東京では現在企画展として『ちひろの本棚』を2015年8月2日まで行っている。
この企画展のコンセプトは、『いわさきちひろは、どのような本を読んでいたのか?』ということである。
いわさきちひろの本棚は1963年、自宅にアトリエを増築した際に、作り付けの本棚を備えて作ったものである。
もともといわさきちひろの自宅跡地にちひろ美術館が開館したということもあり、復元されたアトリエの本棚のなかには蔵書が当時のまま残されている。
復元アトリエにはほかにも画机や本棚など、実際に使われていたものを移築して1972年頃の様子を再現している。
ちひろの本棚世界を理解する一助として
なおちひろの作品もジャンルを分けて展示し、ちひろの本棚世界の理解を誘っている。
・世界の童話
1950年代から60年代、ちひろは日本でもなじみ深い世界の童話の絵を多く手がけた。スピリの「アルプスの少女」、バーネットの「小公女」、とりわけ多く手がけた「親指姫」などのアンデルセンの童話では毎年のように作品を繰り返し書いている。
・日本の文学
1966年に始まる童心社が、若い世代対象に出した「若い人の絵本」シリーズには、ちひろが自ら好きな日本文学作品を選んで絵をつけた。宮沢賢治の『花の童話集』、万葉集をテーマにした『万葉のうた』、樋口一葉の『たけくらべ』等をモノクロームで叙情豊かに表現している。
・花と子ども
ちひろは非常に花を愛していたため、庭にたくさんの草花や樹木を育てると同時に多くの植物の図鑑や、花に関する雑誌や写真のスクラップを残している。
・旅のスケッチ
絵を描くことの次に旅が好きだ、とちひろは語っているのを現すように、「世界文化地理体系」を揃えていたほかにも、旅のガイドブックや時刻表も本棚に置いていた。両親の故郷である信州への家族旅行や、友人との京都・奈良への旅、1963年に旧ソビエト、1966年のヨーロッパ旅行等、国内外を旅行しており、同時に旅先での数多くの風景スケッチが残されている。

ちひろ美術館・東京 企画・展示展 ちひろの本棚
http://www.chihiro.jp/