尾形乾山の乾山焼を展示
東京都港区にあるサントリー美術館では、2015年7月20日までの日程で、尾形乾山を特集した展示である『着想のマエストロ 乾山見参!』の展覧会を行っている。なお展示品は作品保護のため一部入れ替えを行う。
乾山は早くから隠棲の志が強かった人物で、20代後半には仁和寺門前にて隠居して、文人隠士としての生活を始めていた。
その隠士になる過程で近隣に窯を抱えていた野々村仁清に作陶を学んだあと、1699年に京都の北西・鳴滝泉谷へ自身の窯を築いて、本格的に陶工としての活動を始めた。そのとき窯が京都の乾(いぬい)の方角にあたることから、「乾山」とし、作品は乾山焼とされた。
今でも新しさが感じられる作品のルーツ
尾形乾山は江戸時代の陶工および絵師である。号はさまざまなものがあるが、一般には窯銘として用いた「乾山」の名前で知られる。
乾山焼は、陶磁の系譜的には京焼の伝統に連なるものの、乾山は京都の呉服商に生まれたこともあり、美意識の根底には町衆文化や文人思想があったため、その影響によりそれまでの陶磁には見られなかった世界を持ち込むこととなった。
ほかにも当時流行していた琳派や、和・漢といった文学的な世界観および、中国やヨーロッパ製の陶磁器意匠に基づく異国趣味など、それら幅広い要素をまとめ、新しい陶磁器を生み出すことに成功し、それは後の世代にも強く影響をあたえた。

サントリー美術館
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