写真家杉本博司の世界を写し出す
千葉県千葉市にある千葉市美術館では、2015年10月28日から12月23日までの期間、開館20周年記念展として、「杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作」を行う。
杉本博司は写真家であり、大判カメラを使っての写真の制作過程における技術的側面も評価されている作家である。
今回の「今昔三部作」では、杉本の代表作である写真シリーズの『ジオラマ』(1975-)、『劇場』(1975-)、『海景』(1980-)をニューヨークの杉本スタジオから借り受け、16点の大判プリントに展観するものである。
ほかにも『テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ』(2014)も展示するが、この作品は今回が日本での初公開となる。
美術館20周年を迎えるにあたり
1996年1月に千葉市美術館は、開館記念の第2弾として「Tranquility−静謐」を行った。その展覧会の招待作家のひとりであった杉本博司の『海景』シリーズ18点が展示したのち、その作品を千葉市美術館のコレクションに加えた。
そのため2015年11月に迎える開館20周年にあたって再び杉本を招待し、個展を開催するはこびとなった。
そもそも千葉市美術館は現代美術と日本の近世絵画・版画を活動の柱とするユニークな美術館である。くわえて杉本は古美術商の経験を持つこともあって日本美術には大変造詣が深い。
そのため作品には、三十三間堂の千体仏を写した『仏の海』(1995)や、『松林図』(2001)などといった日本の伝統美を自身の作品に取り入れてきた。
さらに2003年からは世界各地を巡回した展覧会の「歴史の歴史」では、自らがコレクションした古美術品を作品に溶け込ませるような試みも行っている。このように現代美術の世界のなかでも古きものに新たな命を注ぎ込む活動を行っている。
開館時間は10:00〜18:00で、金・土曜日は20:00まで開館している。(いずれも入場は閉館30分前まで)休館日は毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日が休館日)と、年末年始(12月29日〜1月3日)である。
(画像は千葉市美術館ホームページより)
千葉市美術館 開館20周年記念展 杉本博司 趣味と芸術 -味占郷/今昔三部作
http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html