浮世絵研究では作品に見合った評価があたえられていない
東京都千代田区丸の内にある出光美術館では、2016年2月20日(土)から3月27日(日)まで、「生誕290年記念 勝川春章と肉筆美人画 -『みやび』の女性像-」を行う。
勝川春章は江戸時代中期に活躍した浮世絵師である。歌舞伎俳優の特徴をとらえ、迫真的な役者絵を多く描き、その活躍はほかの浮世絵師とは一線を画したものになっている。
だが春章の画業がもっとも充実していた時期は、多色摺木版画である錦絵を生み出した鈴木春信(1725?-70)の後半期に重なっている。
それだけでなく、鳥居清長(1752-1815)や喜多川歌麿(1753?-1806)、そして東洲斎写楽(?-1794-?)といった浮世絵史上にさんぜんと輝く巨匠たちが脚光を浴びはじめる目前で終えるため、浮世絵研究の中ではそれらビッグネームに押されてしまい、春章への評価はいまだ作品の出来映えに見合ったものとはいえないものとなっている。
春章の肉筆美人画が見せる顔
今回の展覧会で特集する春章の肉筆美人画だが、周囲の貴顕たちの好みに応じた結果、風雅なおもむきを強くにじませる作品となった。
だがこれは同時代の女性という日常的で手近な題材をとりながら、画題の選択や表現技法には『古典』とのつながりを明確に打ち出している。
いわば『俗中の雅』というべき性格を持った作品となっているのである。そのためこの展覧会では春章の芸術が目指したことと当時の鑑賞者が春章の絵画に期待したことを明確に浮かび出すという構成になっている。
休館日は毎週月曜日(月曜が祝日の場合は翌火曜が休館日)で、開館時間は10:00から17:00であるが、金曜日は20:00(最終入館は閉館30分前)までとなっている。
(画像はホームページより)

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