それぞれの共鳴および対照点を楽しむ
群馬県高崎市にある、群馬県立近代美術館では2016年11月13日(日)までの日程で、「美術と音楽 音楽をめざす美術のこころみ」を行っている。
展覧会では「一つの主題と二つの世界」をもつ、美術(シャガールによる版画)と音楽(ラヴェルによる楽曲)が同じテーマによって表現されている作品である「ダフニスとクロエ」といった作品の比較から開始される。
そして「音楽のある情景」というテーマでは、楽奏を描いた絵画より、そこに響く音へと思いをはせるのに続いて、絵画や音楽の抽象性をめざして創られたカンディンスキーやクレーに代表される色や形による作品と同時に、時を同じくして日本の画家たちが試みた音楽に触発されて生み出した美術作品の紹介も行う。
さらに戦後の作品はいわゆるモダン・タイポグラフィによって描かれた音楽会のポスターなどから戦後の新しい音楽をめざす「音楽の誘い」のテーマのコーナーへ続く。
もともとの距離が近い芸術
美術と音楽、そして文学というジャンルは古代より姉妹芸術と称されてきていた。
そしてロマン主義(18世紀末から19世紀前半にヨーロッパもしくはヨーロッパの影響をうけた諸地域で起こった精神運動の一つで、合理主義などに対し感受性や主観に重きを置くというもの)美術と音楽は、互いに近づき、刺戟を与え合うことになる。
この展覧会では、19世紀後半に西洋美術において画家は、音楽が純粋で抽象的な表現をしているという点にあこがれるようになったため、美術も音楽のように抽象化を進めていったという動きに注目している。
この展覧会は美術作品だけでなく、関連する音楽も合わせて聴くことができる興味深い展覧会である。ふだん触れていなかった分野に触れるチャンスになるかもしれない。

群馬県立近代美術館 企画展示「美術と音楽 音楽をめざす美術のこころみ」
http://mmag.pref.gunma.jp/exhibition/index.htm