40年という短い生涯で生み出した偉大な画業
東京都渋谷区にある山種美術館では、12月4日(日)までの期間、開館50周年記念企画として、前期:10月8日~11月6日、後期:11月8日~12月4日の日程で「速水御舟の全貌 -日本画の破壊と創造-」を行っている。なお会期中、一部で展示替えがある。
今回の展覧会は、まず研鑽を積んだ修業時代および画塾の兄弟子・今村紫紅の感化をうけた時代から始まり、洋画家の岸田劉生や西洋画、宋代院体花鳥画などを意識することによって生まれた写実的表現の追究をピックアップしていく。
それだけではなく、代表作である『炎舞』以降の新たな日本画への挑戦姿勢、そして渡欧後に取り組んだ人体表現や、晩年の水墨で表現している花鳥画に至るまでと、御舟の各時期の代表作が一堂に会する稀有な展覧会となっている。
なお、この展覧会は山種美術館のコレクションに加えて他所蔵の御舟の名品を加えた大回顧展ともなっており、これは23年ぶりのこととなる。
創設者山崎種二が熱心に収集したコレクション
この山種美術館だが、山種証券の創設者である山崎種二(1893-1983)が個人で集めたコレクションをもとに1966(昭和41)年、東京・日本橋兜町に日本初の日本画専門美術館として開館したものだ。
山崎は「絵は人柄である」という信念のもとに同時代の日本画家たちと直接交流を深めながら多くの作品を集めていったという背景がある。
今回展覧会を行う速水御舟だが、早世してしまった人物であるため、1歳ちがいの同世代ながら山崎は会うことはがかなわなかった人物である。しかし、山崎は機会があるごとに御舟の作品を集め、自宅の床の間にかけて楽しんでいた。
1976年には旧安宅産業コレクションの御舟作品105展を一括購入したことで、山種美術館は120展の御舟作品を所蔵することとなった。そのため御舟作品はこの美術館の「顔」ともいえるコレクションと化した。
山崎のそういった思い入れを知ることにより、さらに楽しめる展覧会となるだろう。
休館日は毎週月曜日および10/11、開館時間は10:00から17:00(最終入館時刻は16:30まで)となっている。
山種美術館 開催中の展覧会 速水御舟 -日本画の破壊と創造-
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/gyoshu.html