源氏絵を中心とした展示構成
東京都千代田区にある出光美術館では、2017年1月8日(日)から2月5日までの日程で開館50周年記念「岩佐又兵衛と源氏絵 -<古典>への挑戦」を行う。
又兵衛は幅広い技法を操るほか、さまざまな和漢の題材に取り組んでいったが、今回はとくに王朝文化の傑作『源氏物語』を題材にした、いわゆる源氏絵に注目した展覧会を開催する。
なお2017年は又兵衛が活動の拠点を江戸に移してから380年となる。そのため『浮世絵の開祖』とも称された又兵衛の絵画が、江戸の浮世絵師に与えた刺激を図るため『絵入源氏物語』や『十帖源氏』の展示もある。
他にも菱川師宣(?-1694)が江戸版の挿絵を担当したとされる『おさな源氏』、歌人・俳人で古典学者の松永貞徳(1571-1653)の流れをくむ文化人が携わり出版された源氏物語のダイジェストである『梗概書(こうがいしょ)』といった作品も取り上げつつ、作家と又兵衛との関係も探っていくという構成の展覧会となっている。
もともとは戦国武将の子であった
岩佐又兵衛(1578-1650)は戦国武将として織田信長に仕えていた荒木村重の子である(一説には孫とも)。
天正6(1578)年10月、荒木村重が信長に対して反旗を翻し信長の怒りを買ったため、人質の女房衆はじめ、避難していた荒木一族は発見しだい殺されていった。
そのような環境が背景にあったため、又兵衛は絵によって生計をたてることを余儀なくされた。とはいえ又兵衛は画家としてはかなりの実力があった。
その又兵衛が生涯にわたって描きつづけた絵に『源氏物語』を描いた源氏絵がある。
古典の中でも絶賛されている作品であるがゆえに、非常に難しい題材だったが、又兵衛はその絵画により伝統を学びつつ、自由な発想によって過去に例のない新鮮な源氏絵を生み出していった。
激しい時代変動の中、又兵衛にとっては古典という変わらない存在を描くことが自分の存在を示すための手段だったのかもしれない。
休館日は毎週月曜日だが、1月9日は開館している。開館時間は10:00から17:00(入館は16:30まで)である。
(画像は出光美術館のトップページより)

出光美術館 展覧会「岩佐又兵衛と源氏絵 -<古典>への挑戦」http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html